「薬膳」や「食養生」と聞くと、病気の時に食べる薬草やスパイスが入った料理、というイメージのある方も多いかもしれません。

わたしが食に興味を持ったのは、過度なダイエットやストレスが原因で体調を崩してしまった、高校生、大学生のころ。そのとき「マクロビオティック」という考え方に出会い、食事でからだを整え、内側から綺麗になる、ということを初めて知り、衝撃を受けました。

そこから、マクロビオティック料理家の師匠についたり、飲食店を立ち上げたり、ファーマーズマーケットの運営に携わったりして、食の世界で経験を積み、独立して食養生の料理教室をはじめました。

食養生や中医学の勉強をしていると、「旬のものは身体にいい」ということを改めて実感します。その季節の不調は、その季節に美味しい食材が予防や治癒を助けてくれる。それはただの言い伝えではありません。

食材となる植物や動物も、私たちの身体も、太古から地球が育んできた自然のめぐりの一部であって、そう考えてみれば当たり前のこと。そういうめぐりの中に生かされていると思った時、料理だけでなく、いち消費者としても、食材を生産することや、その土壌が豊かであり続けるための環境問題のこともきちんと考えたいと思うようになりました。

その想いをあたため、いよいよ今年から、食卓を中心に地球にも自分にもいい暮らしを考えるコミュニティを本格的に始動します。みんなで畑を耕して野菜を生産したり、お味噌を仕込んでみたり。思いを持って食材をつくっている全国の生産者の方々と連携して、体験をつくっています。

「食養生」とは、自然のリズムを自分の中に取り入れて、いただくいのちも自分の心身も、大切にするということだと、わたしは思っています。

日常の「食べる」ということを通して、少しでも自然を感じ、自分を見つめることができたら、心も身体も元気でいられるはず、そう信じています。

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＜PROFILE＞

塚本紗代子

食養生研究家。国際中医薬膳師。〈TSUMUGI〉代表取締役。コミュニティの運営や料理教室、ワークショップなどで食を通した原体験を提供している。

Inastagram ： @tsumugi_kitchen 　@tuka34