CART IS EMPTY
カートに商品が入っておりません
Less is beauty
カートに商品が入っておりません
波長を合わせることに上手になりすぎた私たち/川端里恵
オンライン会議やマスクをしたままの打ち合わせに慣れてきた。
いつもより大きめにリアクションする、発言したいときは手をあげる、語尾をはっきり言うなど、欧米式な新しいお作法もだいぶ身に付いてきた。
日本人の会話の特徴という話でいうと、『日本人とリズム感』(樋口桂子)に「日本文化は稲作文化に起因する」との分析が載っていて、とても印象に残っている。
「稲作の作業は他の人と合わせながら、呼吸を合わせながら行わなければならない。他の人と協調して動作を揃えるリズム感が育っていった」
とある。 同意する際、イタリア人は顎を上げるが、日本人は下向きに頷き、会話中の頷きの回数も多いらしい。
“リズム感”をテーマに、音楽やダンス、絵画などを通じて日本文化の独自性をあぶり出すこの本。
読めば読むほど、日本人は「波長合わせ」が得意なんだなと思う。
「空気を読む」「察する」「暗黙の了解」……。
このコロナ禍は、波長を合わせすぎるようになってしまった私たちにチューニングし直しを迫ったのかもしれない。
今までよりも少し自分勝手に、自分の気分の波に正直になって。
退屈なオンライン飲みは「ごめん、電波の調子が悪いみたい」と急に離脱したっていい。
顔を洗って、お手入れして、好きな音楽をかけて、明日の楽しみなことを考えようかな。
<Profile>
川端里恵
1979年生まれ。ウェブマガジン「mi-mollet(ミモレ)」副編集長。『あしたのジョー』の大ファンで、講談社へ入社。おすすめの本を紹介するPodcast「真夜中の読書会〜おしゃべりな図書室〜」も毎週配信中。
Instagram:@batayomu
mi-mollet(ミモレ): https://mi-mollet.com/
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