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想像するための「間」。/音楽家 LUCA

LIVE in HOME RETREAT
5月のHOME RETREATで、やさしく心に響く音楽ライブをしてくださった、LUCAさん。いまは京都を拠点としながら、全国様々な場所で歌を作ったり、その土地の民謡を学んだりと活動を広げ、2020年8月には、民謡集「摘んだ花束 小束になして」をリリース。音楽を通して知った、「間」の大切さについて、お話ししてくださいました。

18歳の誕生日に当時の彼からギターをもらったのがわたしの音楽のはじまりでした。

当時は、留学でデンマークにいました。英語で日記のように詩を書いて、ぽろぽろギターを弾いて、部屋でひとりで歌をうたっていました。

人種差別や言葉の壁、気分が落ち込む日々も多かったわたしにとって、歌の時間は、すべてを忘れられる魔法のような時間でした。

 

日本に帰ってきてからは、バイトをしながら音楽活動を開始。

ショーの音楽の仕事に声をかけてもらったり、自主アルバムをつくったり。

当時はスタジオだとうまく歌えないから、森の中で歌ったりして。

 

生まれが米国ということもあって、子どもの頃から邦楽に馴染みがなく、より自分を表現できる英詩ばかりを書いて歌っていました。

すると大手の音楽事務所の方々から扱い辛いと言われることもあったり。

日本人なのに、なぜ日本語を歌うことがしっくりこないのだろうと、それがいつしか自分のアイデンティティへの葛藤と変わっていきました。

 

かれこれ6年前のある夜、

大人数がお酒を酌み交わす宴の中、民謡を歌う青年と出会いました。彼はすっと立ち上がり、鳥取県の貝殻節を歌い上げたのです。

私にとって衝撃的な出来事でした。

その声と歌はなぜか心にすっと入ってきて、次の瞬間にはその彼に駆け寄り、「その歌を教えて」とお願いしていました。

 

そこからわたしの民謡の旅が始まります。

楽譜や音源が残っているものは少なく、全国津々浦々、基本的に口伝いで教えてもらっています。

 

私の歌う民謡は、だいたい100-200年前のもの。(本当はもっと古いものも歌いたいのだけど。然るべきご縁を待っています。)

 

家事や労働、子守歌など、人びとの日々の営みの中に自然と出てくるリズムや旋律、言葉、作者も分からないことがほとんどで、その時を生きた人々と土地のエネルギーが、どの歌にもこもっています。

 

なので民謡を歌う時はできるだけ空っぽになります。

自分はただの入れ物であって、他の様々な存在が私を通して外に出てゆき、誰かの心に触れれるように。

 

気づくとなんでもぎゅうぎゅうに詰め込んでしまうこの世の中。

せわしない都会にいると、物や情報、負の感情が溢れていて、気づかないうちに大切な「感受性」を全部オフにしてしまっている気がします。

心に「余白」がなかったら、誰か何かを想いやるための想像力を働かせる余裕もなくなり、地球全体で起こる様々な問題も解決されません。

 

想像するための余白の中で、自分が心から求めていること、大切に思うことを素直に愛せたら、心地の良い世界になるのではと思います。

 

 

<Profile>

LUCA

1994年カリフォルニア州 バークレー生まれ。音楽家。 2015年ファーストアルバム「So I began」を発表。音や言葉を紡ぎ歌うこと、そして日本各地に伝わる民謡を唄い繋ぐことを始める。最新作は2020年8月、写真家・Miho Kajiokaの写真を迎えた民謡集 「摘んだ花束 小束になして」。 ソロ名義の活動の他、坂本龍一 ソロアルバム「async」コーラス参加や、night crusingからThere is a foxと「Light Waves」のリリース。そして近年ではharuka nakamura とのコラボレーションを重ね、ユニットarcaを2020年から本格始動。ユニットのファーストアルバムをこの秋にリリース予定。

作詞、ナレーション、モデル、写真家・Ariko Inaokaの最新作 「Eagle and Raven」の翻訳など、音楽の垣根を越え、活動は多岐に渡る。 カリフォルニア、デンマーク、パリ、東京を経て、現在は京都を拠点に活動中。

 

Artist Photography by Miho Kajioka