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Less is beauty
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日常にリズムをつくるお茶の時間/朝日焼十六世 松林豊斎
朝日焼は、お茶文化の中心地である京都・宇治で約400年前に誕生しました。抹茶の濃い色に映える土モノの茶盌を作るところから始まり、しばらくして町衆のカウンターカルチャーとしての「煎茶」が勃興した時代に、その淡い色に合わせて、白い磁器の器を作り始めました。
今回、春光院のイベントでお使いいただくのは、朝日焼の茶器でも最もスタンダードな、河濱清器。
朝日焼の八世長兵衛から代々継承している、持ち手のない急須「宝瓶(ほうひん)」は、丁寧にあけられた小さな穴によって、煎茶や玉露の旨みを一番引き出せるようにデザインされています。
お茶は、ぜひ、最後の一滴まで淹れてください。お茶っ葉が水分を吸収するため、底に残るものが一番美味しいのです。
煎茶碗は、色が薄く味は濃い宇治のお茶を、少量でも愉しめるように、傾斜と水深が計算されています。また、唇に沿うような呑口になっており、お茶を飲んだ時に、香りと旨みが舌の上にじわっとひろがります。
150年前から受け継がれてきたデザインを、時代に合わせて一ミリ単位で少しずつ変化させてきた中で、いまの時代背景にベストな形に調整しています。これ以外に足す要素も引く要素もないんです。
デザイン要素を最低限にしながら、茶器としての役目が最大限に発揮されるために、削ぎ落とされ、洗練されててきました。
「日常茶飯事」という言葉の通り、お茶は日本人にとって生活の一部になっています。
一方で、中国や台湾などに比べて、お茶をゆっくりと味わう嗜好品として愉しんでいる人は少ないように感じます。
400年以上つづいてきた茶器の窯元として、どうやったら現代のライフスタイルに合わせながら、お茶を味わっていただけるかということを考えてきました。
お茶が持つ側面のひとつに、日常の中に「リズム」をつくるという価値があると思っています。
昔から修行僧たちは、起床後や午後の休憩時間などに、集まってお茶を飲むという習慣があります。
規則正しい修行生活の中に、時間を刻むものとして、お茶が存在してきたのです。
そういう意味で、「茶の間」という言葉は、空間だけでなく、時間のことも指すような気がしています。現代ではほとんどの家に「茶の間」はないかもしれませんが、自分で「お茶の時間」をつくることはできるかもしれません。
座禅をする時間、スキンケアをする時間、トレーニングする時間など、何か動作をしながら、心や身体を整える時間が、現代生活に必要になっています。
その中で、100人いたら数人くらいは、お茶が、日常の中で心と身体のリズムを整えるものになるかもしれない。
そんな豊かさを感じれるような器であるためにはどうしたらよいか、いつもその問いを持ってものづくりをしています。
<PROFILE>
松林豊斎
朝日焼 十六世 1980年7月、朝日焼十五世松林豊斎の長男として生まれる。2003年3月、同志社大学法学部を卒業。同年4月、日本通運(株)海運事業部に就職。04年4月、退社後、京都府立陶工訓練校にて轆轤を学ぶ。その後は父豊斎の許で修行。15年3月、英国セントアイブスのリーチポタリーにて作陶。同年10月、フランスのギメ東洋美術館にて作品展示と茶会。在仏日本大使館、在リヨン領事事務所に作品寄贈。16年6月、平等院浄土院にて朝日焼十六世松林豊斎を襲名。高円宮妃殿下より「朝日」の印を拝領する。18年6月、リーチ・ポタリーで作った茶盌が英ウェールズのカーディフ国立博物館に、パブリックコレクションとして収蔵される。
Instagram:@asahiyaki