CART IS EMPTY
カートに商品が入っておりません
Less is beauty
カートに商品が入っておりません
いけばなのように/ 平田 春果
現代社会において、あるがままの自分でありたいと願いながら、それが叶うことはあるのだろうか。
それならば自分自身がいけばなのように、人の手の加えられた存在であることを自認すれば良い、いつからかそう思うようになった。
空間を埋めるのではなく、草花で余白を創り出すいけばな。
独創的で自由な作風の草月流の門戸を叩き早や4年が経とうとしている。
自然から離れた植物を手に取りじっくりと観察すれば、そこには茎、枝、葉、花、蕾が連なっている。それらのどの部分を活かし、どんな色や線、そして花器で物語を思わせる空間を生み出すのか。その決断の時間はまるで、自分に装いを凝らす行為のようでもある。
草月流創始者である勅使河原蒼風先生の著書『花伝書』にこのような一節がある。
「イサム・ノグチがうちへきていった言葉がなかなかいい。松をいけて、松に見えたらだめでしょう。松が松でなく見えることは、大変ですね。」
わたしたちも、時には自分が自分ではないように振る舞わなくてはならない。けれどもそこには、創られた新たな美があるのだと、勇気を与えられている気がしてならない。いけばなのように、思慮深く空間を広げる存在として美しくあれ、と。
プロフィール
平田春果(ひらたはるか)
東京生まれ。幼少期をギリシャで過ごす。レコードショップBig Love Recordsクリエイティブ・ディレクター、いけばな草月流師範。翻訳家、セレクトショップGR8やP.A.M.などコーディネーターとしても活躍。
Instagram:@haruka_biglove