ああ、今日だ。

街を歩いていて、ひゅうっと吹いた秋風が

甘く黄色い香りのベールをめくって、足が止まる。

あきらかに昨日とは違う空気に、

またこの季節が廻ってきたという安堵と焦燥が

いっぺんに押し寄せて早足になる。

途方もなく遠いところに来てしまったようで

いつもぐるぐると廻っている。

もう10日もすれば消えてしまう空気のベールを

切り裂きながら歩く夕方に添える、秋の散歩音楽。