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余韻のあとに残る感想/mi-mollet 副編集長 川端里恵

『カーヴの隅の本棚』鴻巣友季子(文藝春秋)
6月のテーマ 「余」
世界を取り巻いた感染症によって、経済や生活がスローダウンし、急ぎすぎていた毎日や、過密になっていた都市に、ひとときの「余白」が生まれました。人との適切な距離を保つ、何もないところに美を見出す、ということは、古くからの日本人の美学でもあります。少し立ち止まって「余裕」を持つ。多くを求めず「余韻」を楽しむ。これからの生き方に向けて、「余白」の美を考えます。
鴻巣友季子『カーヴの隅の本棚』01
鴻巣友季子『カーヴの隅の本棚』03
鴻巣友季子『カーヴの隅の本棚』04
鴻巣友季子『カーヴの隅の本棚』02
鴻巣友季子『カーヴの隅の本棚』01
鴻巣友季子『カーヴの隅の本棚』03
鴻巣友季子『カーヴの隅の本棚』04
鴻巣友季子『カーヴの隅の本棚』02

 

「感動が去って、感想が残らない作品には、なにかが欠けているのだろう」とは、翻訳家・鴻巣友季子さんのエッセイ『カーヴの隅の本棚』の中の一文。

自分の欠けているなにかを指摘されたようでドキッとする。この本は、ワインの記憶を辿りながら、文学を解説するという、著者の知性と知識と語彙力が気持ちよく発揮された1冊で、繰り返し読んでも発見がある。

先にあげた一文は、ワインの価値のひとつ“余韻”について語られた文脈にあり、「美味なワインは飲む前にあるていど識別できるが」「感動は意図して作られても、余韻は作られない」とも語られている。

肌のお手入れもそうなのではないかと思う。アイテムの能書きやブランドで、使う前にあるていど使った瞬間の感動は作られるが、続けてみないと感想は残らない。ワインの記憶がその時の情景や感情と切り離せないように、お手入れもそのときの状況や、心の状態とも切り離せない。2本目が1本目と同じ感想とは限らない。

もし今、どの余韻かわからないくらい“飲み過ぎ”ているならば、1つに絞ってみるのも手だと思う。

 

川端里恵

1979年生まれ。ウェブマガジン「mi-mollet(ミモレ)」副編集長。『あしたのジョー』の大ファンで、講談社へ入社。おすすめの本を紹介するPodcast「真夜中の読書会〜おしゃべりな図書室〜」も毎週配信中。
Instagram:@batayomu
mi-mollet(ミモレ): https://mi-mollet.com/