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身近に潜む喫茶 / 苅田梨都子

安藤雅信・溝口実穂『茶と糧菓 喫茶の時間芸術』
テーマ「新」
落ち込む時期もあれば、悩んで息詰まる時もあります。そんなときに読んでいただきたい、目の前がひらけていくような本をご紹介いただきます。新しい自分に出会う一冊。
安藤雅信・溝口実穂『茶と糧菓 喫茶の時間芸術』01
安藤雅信・溝口実穂『茶と糧菓 喫茶の時間芸術』02
安藤雅信・溝口実穂『茶と糧菓 喫茶の時間芸術』03
安藤雅信・溝口実穂『茶と糧菓 喫茶の時間芸術』04
安藤雅信・溝口実穂『茶と糧菓 喫茶の時間芸術』05
安藤雅信・溝口実穂『茶と糧菓 喫茶の時間芸術』06
安藤雅信・溝口実穂『茶と糧菓 喫茶の時間芸術』01
安藤雅信・溝口実穂『茶と糧菓 喫茶の時間芸術』02
安藤雅信・溝口実穂『茶と糧菓 喫茶の時間芸術』03
安藤雅信・溝口実穂『茶と糧菓 喫茶の時間芸術』04
安藤雅信・溝口実穂『茶と糧菓 喫茶の時間芸術』05
安藤雅信・溝口実穂『茶と糧菓 喫茶の時間芸術』06

2021年を迎えた。

“新”年ということでどこか心新たに過ごしたい、気持ちを切り替えて整えたいという想いは皆さま、あるかと思う。

 

でも新たな事に挑戦するには中々ハードルが高い、継続が難しいという私の経験もあり腰が重い。

しかし、“敢えて普段当たり前に過ごしている物事にじっくり焦点を当ててみる”と、ほんの少しの意識で新しい風が吹いて来ると実感している。

 

 

2020年6月、タイミング良く“菓子屋ここのつ”へのお誘いが。

茶寮という、茶と菓子の2時間コースだ。

薄暗く静寂な部屋に5名のみ。白い蝋燭に火を灯された。

実穂さんはマジックショーのように次々と優美で絶品な糧菓と茶を運んで下さる。映画鑑賞の2時間よりも濃厚で、身近な茶や菓子、食材と対話しているひと時であった。

 

これは第三者側ではなく、自身が映画の中の主人公となり現実だった。

帰宅してから暫く何も出来ず、見えない糸が身体にピンと張り詰めていた。

 

 

そんな衝撃を受けた時間の記念に『茶と糧菓 喫茶の時間芸術』を購入。

繊細で永遠に眺めていられるような贅沢な写真たちと、茶や喫茶・歴史や食材と、茶事について丁寧に綴られている文章仕立て。

 

私たちの身近にある茶や菓子、喫茶についてぼんやりと眺めているのではなく、首を突っ込んでみると世界が変わったように更に楽しくも新鮮だ。

まだまだお家時間も長く、多い。

喫茶店に訪れるのではなく、毎日のお茶やおやつ、食材について見つめ直してみるのも自身をより大切にできる時間ではないだろうか。

 

 

<PROFILE>

苅田 梨都子

1993年岐阜県生まれ。ritsuko karitaファッションデザイナー
和裁士の母親の影響で幼少期から手芸が趣味となる。バンタンデザイン研究所卒業後、ファッションデザイナーとして活動開始。服だけに捉われず、映画・建築・美術・香り・食・写真等、生活に纏わる物事を好み積極的に発信を行っている。マイブームはお茶・お香・器。

Instagram: @ritsuko627

ritsukokarita.com