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カートに商品が入っておりません
Less is beauty
カートに商品が入っておりません
余韻のあとに残る感想/mi-mollet 副編集長 川端里恵
「感動が去って、感想が残らない作品には、なにかが欠けているのだろう」とは、翻訳家・鴻巣友季子さんのエッセイ『カーヴの隅の本棚』の中の一文。
自分の欠けているなにかを指摘されたようでドキッとする。この本は、ワインの記憶を辿りながら、文学を解説するという、著者の知性と知識と語彙力が気持ちよく発揮された1冊で、繰り返し読んでも発見がある。
先にあげた一文は、ワインの価値のひとつ“余韻”について語られた文脈にあり、「美味なワインは飲む前にあるていど識別できるが」「感動は意図して作られても、余韻は作られない」とも語られている。
肌のお手入れもそうなのではないかと思う。アイテムの能書きやブランドで、使う前にあるていど使った瞬間の感動は作られるが、続けてみないと感想は残らない。ワインの記憶がその時の情景や感情と切り離せないように、お手入れもそのときの状況や、心の状態とも切り離せない。2本目が1本目と同じ感想とは限らない。
もし今、どの余韻かわからないくらい“飲み過ぎ”ているならば、1つに絞ってみるのも手だと思う。
川端里恵
1979年生まれ。ウェブマガジン「mi-mollet(ミモレ)」副編集長。『あしたのジョー』の大ファンで、講談社へ入社。おすすめの本を紹介するPodcast「真夜中の読書会〜おしゃべりな図書室〜」も毎週配信中。
Instagram:@batayomu
mi-mollet(ミモレ): https://mi-mollet.com/